豊胸シリコン抜去後のバストをどう保つ?自家脂肪注入を同時に行う方法の工夫【論文掲載】

豊胸シリコン(インプラント)による豊胸を受けた後、「硬さや違和感が気になる」「将来的にはインプラントを外したい」と考える方がいます。一方で、インプラントを抜去すると、乳房のボリュームが減少し、皮膚の余りや下垂、左右差が目立つことがあります。

そこで注目されている選択肢の一つが、インプラントの抜去と同時に、自分の体から採取した脂肪を乳房へ注入する方法です。今回は、雑誌『形成外科』2026年9月号・第69巻第9号に掲載された、僕の論文「シリコンインプラント抜去と同時に行う脂肪豊胸の工夫」をもとに、この手術の考え方を一般の方向けに紹介します。

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形成外科2026年9月号:下顎再建の新時代―CAD/CAM 技術とその展望― | 克誠堂出版
【豊胸】豊胸のシリコンを取りたいが、胸を小さくしたくない場合 | 吉田有希 美容外科医ブログ|脂肪吸引・豊胸・エイジング治療
こんにちは、THE CLINICの吉田です。今回は術後3ヶ月の症例をご紹介します。

豊胸シリコン(インプラント)を抜去すると

インプラントを抜去し、乳房の中身が減った状態になると、ボリュームの減少だけでなく、皮膚の余り、下垂などが現れることがあります。

この変化をできるだけ抑えたい場合、インプラントを抜去するだけでなく、同時に自家脂肪注入を行う方法が選択肢になります。自家脂肪注入とは、腹部や太もも、腰などから脂肪を採取し、処理したうえで乳房へ注入する方法です。

ただし、脂肪を入れればよいという単純な話ではありません。脂肪が生着するには、周囲から血流や栄養が供給される必要があります。インプラントが入っていた空間は血流が乏しいため、そこへ脂肪を直接注入すると、脂肪壊死、しこり、オイルシストなどにつながる可能性があります。

この論文で紹介した「被膜を利用する」考え方

シリコンインプラントを挿入すると、周囲に被膜と呼ばれる薄い膜が作られます。
この被膜は、切除する方法と、状態を見ながら温存する方法があります。
しかし被膜を広く切除すると、周囲組織との癒着や出血など、別のリスクが生じる可能性があります。そのため、被膜を必要以上に切除せず、その周囲や乳房の別の層へ脂肪を注入するというのがこの手術の術式です。

どのような方に向いているのでしょうか?

この方法は、インプラントを抜去したい一方で、乳房のボリュームや形をできるだけ維持したい方にとって、検討対象となる可能性があります。特に、被膜を温存でき、インプラントが入っていた層以外にも脂肪を注入できる組織が残っていることが重要な条件です。

反対に、被膜の高度な石灰化や強い拘縮、複数回の再手術による組織の変化、大胸筋周囲の広範な処理などがある場合は、注入できる層が限られることがあります。その場合、一度の手術で大きなボリュームを目指すのではなく、複数回に分けた脂肪注入が提案されることもあります。

術後の過ごし方にもポイントがあります

術後しばらくは乳房を強く圧迫したり、大きく揺らしたりしないよう、適度なサポート力のある下着を使用することが推奨されます。また、注入脂肪の定着を考慮し、少なくとも3か月程度は体重を減らさないよう生活指導を行います。

これは一般的な目安であり、実際の期間やケア方法は、手術内容や回復状態によって異なります。術後は自己判断で強いマッサージや運動を始めず、担当医の指示に従うことが大切です。

まとめ:大切なのは「抜去」と「脂肪注入」の組み合わせ方

シリコンインプラントを抜去すると、乳房のボリュームや形が変化することがあります。そこで、自家脂肪注入を同時に行い、抜去後の乳房の形態を維持することを目指す方法が検討されます。

今回紹介した論文の特徴は、インプラントが入っていた空間へ脂肪を直接注入するのではなく、被膜を可能な限り温存し、血流が保たれた被膜周囲や乳房の複数の層へ脂肪を分散して注入する点にあります。また、術前評価を行ったうえで、手術の順番や切開部位を患者さんごとに調整することも重要なポイントです。

インプラント抜去後の治療を考える際は、抜去だけでなく、乳房の皮膚や組織、被膜の状態、採取できる脂肪量、希望する仕上がりを含めて、複数の選択肢を医師と相談しましょう。手術には合併症や仕上がりの個人差があり、この記事だけで適応を判断することはできません。

よくある質問

Q
インプラントを抜去したら、必ず脂肪注入を同時に行うのですか?
A

必ずではありません。抜去のみ、抜去後に期間を置いて脂肪注入を行う方法、別の形成術を組み合わせる方法などがあります。乳房の状態と希望を踏まえて、医師と治療計画を決めます。

Q
インプラントが入っていた空間に脂肪を入れるのですか?
A

論文で紹介されている方法では、血流が乏しいインプラントの残存腔への直接注入を避け、被膜周囲や乳房内の別の層へ注入します。誤注入を避けるため、術中の確認が重視されています。

Q
一度の手術で、以前のインプラントと同じ大きさになりますか?
A

同じ大きさになるとは限りません。注入できる脂肪量や生着の程度、皮膚の余り、乳房の組織状態によって結果は変わります。高度な変形がある場合は、複数回の治療が必要になることもあります。

Q
脂肪注入にはどのようなリスクがありますか?
A

脂肪壊死、しこり、オイルシスト、感染、腫れ、痛みなどの可能性があります。脂肪を採取した部位にも、内出血、色素沈着、凹凸、拘縮などが起こることがあります。さらに、インプラント抜去に伴う漿液腫や血腫などのリスクもあります。

この記事を書いた人

吉田 有希(Yuuki Yoshida) 形成外科専門医 / 美容外科(JSAPS)専門医
THE CLINIC 東京院 / BUST CLINIC / 埼玉医科大学 形成外科・美容外科

【経歴・人物】 日本専門医機構認定形成外科専門医。 現在はTHE CLINIC Tokyoにて、脂肪吸引・脂肪注入を中心としたボディデザイン診療を行う。

医師として臨床現場に立つ傍ら、「医学的に正確で、患者様が理解しやすい医療コンテンツ」の不足に課題を感じ、曖昧なネット情報に惑わされる患者様を減らすため、医学論文(一次情報)に基づいたエビデンスベースの発信を徹底している。

【保有資格・所属学会】

  • 日本専門医機構認定 形成外科専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)認定美容外科専門医
  • VASER認定医

【専門分野】

  • 形成外科全般
  • 脂肪吸引・脂肪注入(豊胸・エイジングケア)
  • 医療ダイエット・肥満症治療管理
  • 医療論文解説

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参考文献

[1] 「シリコンインプラント抜去と同時に行う脂肪豊胸の工夫」吉田有希ほか、『形成外科』2026年9月号(第69巻第9号)

※本記事では、論文本文の文章・図表・症例写真をそのまま転載せず、内容を一般向けに再構成しています。

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