
マンジャロダイエットが最近流行っていますが、その一方でなかなか太れない方々もいます。
一般的には、体重を減らす方法に関する情報は豊富ですが、健康的に体重を増やす方法については、意外と詳しく解説されていません。
今回は、形成外科専門医の立場から、健康的に体重を増やすための食事方法、市販の栄養補助食品、サプリメントについて解説します。
忙しい人向け|健康的に体重を増やす方法を30秒で解説
「食べても太れない」「健康的に体重を増やしたい」という方は、まず次のポイントを押さえておきましょう。
- 体重増加の基本は摂取カロリー>消費カロリー。 普段の食事に1日300〜500kcal程度を追加することが一つの目安です。
- おすすめの食べ物は、ナッツ・乳製品・卵・アボカド・オリーブオイルなど。 少量でも効率よくエネルギーを補給できます。
- 食が細い方は栄養補助食品を活用しましょう。 メイバランスMiniカップは125mlで200kcal、エンジョイハイカロリークリミール300は125mlで300kcalを補給できます。
- まずは2〜4週間継続し、体重の変化を確認しましょう。 食事量を増やしても体重が減り続ける場合は、病気が隠れている可能性もあるため、医療機関への相談を検討してください。
結論:無理に食事量を増やすのではなく、普段の食事に栄養価の高い食品や補助飲料を少しずつ追加することが、健康的な体重増加の第一歩です。

1.体重を増やすために最も重要なのは「摂取カロリー」
体重を増やすために、まず第一に考えるのがエネルギーバランスです。私たちは日常生活の中で、基礎代謝、身体活動、食事の消化吸収などによってエネルギーを消費しています。基本的には、消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーが多い状態が続くことで、体重が増加します。
当たり前ですが、
摂取カロリー > 消費カロリー
という状態を継続することが、体重増加の基本になります。

基礎代謝とは?体重を増やすために必要なカロリーを知ろう
健康的に体重を増やすためには、まず自分が1日にどの程度のエネルギーを消費しているのかを理解することが大切です。そこで知っておきたいのが「基礎代謝」です。
基礎代謝(Basal Metabolic Rate:BMR)とは、安静にしている状態でも、生命を維持するために消費されるエネルギーのことです私たちの体は、何もしていないように見えるときでも、さまざまな活動を続けています。例えば、以下のような生命活動にもエネルギーが必要です。
- 心臓を動かして血液を循環させる
- 呼吸を続ける
- 脳や神経の機能を維持する
- 体温を一定に保つ
- 肝臓や腎臓などの臓器を働かせる
- 細胞を修復・維持する
つまり、運動をしたり、歩いたりしていなくても、私たちの体は常にエネルギーを消費しているのです。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、一般的な身体活動レベルの成人では、1日の総エネルギー消費量のうち、基礎代謝が約60%を占めています。
一般的な成人の基礎代謝はどのくらい?
基礎代謝量は、年齢、性別、体格、筋肉量などによって異なります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、日本人の基礎代謝量について、以下の基準値が示されています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 約1,490kcal | 約1,130kcal |
| 30〜49歳 | 約1,570kcal | 約1,170kcal |
| 50〜64歳 | 約1,510kcal | 約1,120kcal |
| 65〜74歳 | 約1,390kcal | 約1,090kcal |
| 75歳以上 | 約1,310kcal | 約1,020kcal |
※各年齢区分の参照体重における基礎代謝量。個人の基礎代謝を示すものではありません。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」基礎代謝量基準値。
成人女性の場合、参照体重における基礎代謝はおおむね1,100〜1,200kcal程度となっています。一方で、体重の軽い方では基礎代謝量も少なくなる傾向があります。そのため、痩せ型の女性では1,000kcal前後となる場合もあります。
自分の基礎代謝を計算してみよう
厚生労働省の基準値を用いると、基礎代謝量を簡単に概算できます。計算方法は以下の通りです。
基礎代謝量(kcal/日)=体重(kg)×基礎代謝基準値(kcal/kg/日)
例えば、30歳で体重45kgの女性の場合を考えてみましょう。30〜49歳の女性の基礎代謝基準値は21.9kcal/kg/日です。
45kg × 21.9kcal = 985.5kcal
したがって、基礎代謝量は約986kcal/日と推定されます。
ただし、これは年齢と体重から算出した概算です。実際の基礎代謝量は筋肉量や体組成などによって異なります。また、2025年版の基礎代謝基準値は、BMI18.5未満の集団を除いた研究などに基づいているため、極端に痩せている方では推定誤差にも注意が必要です。
基礎代謝より多く食べれば体重は増える?
しかし、体重を増やすためには、基礎代謝量を超えるだけでは不十分です。なぜなら、私たちは基礎代謝以外にもエネルギーを消費しているからです。1日のエネルギー消費量は、大きく次の3つに分けられます。
| エネルギー消費の種類 | 割合の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 基礎代謝 | 約60% | 心臓・脳・臓器の活動など生命維持 |
| 身体活動 | 約30% | 歩行、家事、仕事、運動など |
| 食事誘発性熱産生 | 約10% | 食べ物の消化・吸収・代謝 |
※標準的な身体活動レベルの人における目安。個人差があります。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
例えば、基礎代謝が1,000kcalの女性であっても、1日の総エネルギー消費量は1,500〜1,750kcal程度になる場合があります。この女性が1日1,200kcalしか食べていなければ、基礎代謝量を上回っていても、総エネルギー消費量には届きません。そのため、体重が増えない、あるいは減少してしまう可能性があります。
体重を増やすには何kcal食べればよい?
1日に消費するエネルギー量を「総エネルギー消費量(TDEE)」と呼びます。
総エネルギー消費量は、基礎代謝量に身体活動レベルを掛けることで概算できます。
総エネルギー消費量 ≒ 基礎代謝量 × 身体活動レベル
身体活動レベルは、生活スタイルによって異なります。
| 身体活動レベル | 係数の目安 | 生活スタイル |
|---|---|---|
| 低い | 1.50 | デスクワーク中心で活動量が少ない |
| 普通 | 1.75 | 通勤や家事、立ち仕事などを行う |
| 高い | 2.00 | 活発な運動や身体活動が多い |
※2025年版食事摂取基準の成人の身体活動レベルに対応する概算。
1日300〜500kcalの追加摂取が目安

英国の国民保健サービス(NHS)は、健康的に体重を増やしたい成人に対して、通常の食事に1日300〜500kcal程度を追加する方法を紹介しています。
(https://www.nhs.uk/live-well/healthy-weight/managing-your-weight/healthy-ways-to-gain-weight/
このページには、
- 少量の食事を頻繁に摂り、食事の間に健康的な間食を取り入れる
- チーズ、ナッツ、種子類を加えて食事にカロリーを追加する
- バランスの取れた食事を心がける。
- 豆類、魚、卵、赤身肉など、食事にタンパク質を加える。
- 運動は食欲増進につながるため、適度な運動を行う。
などのアドバイスが記載されています。
例えば、普段の食事に加えて、
- カロリーメイト2本:200kcal
- アーモンド約30g:約180kcal
- さけるチーズ2〜3本:約160〜240kcal(ただし塩分高め)
といった食品を取り入れることで、摂取エネルギーを増やせます。
具体例:30歳・体重45kgの女性の場合
女性の基礎代謝量は、先ほどの計算から約986kcalです。
身体活動レベルが普通の場合、
986kcal × 1.75 = 約1,726kcal
つまり、1日に約1,730kcalを消費している計算になります。
この女性が体重を増やしたい場合、普段の食事に300〜500kcalを追加すると、
1日約2,030〜2,230kcal
が、体重増加を目指す際の摂取エネルギーの一つの目安になります。ただし、これはあくまで概算ですので、実際には食事内容や活動量、体重の変化を確認しながら調整する必要があります。
体重を増やすなら、まずは2〜4週間継続する
毎日体重を測っても、水分量や便通、月経周期によって数値は変動しますし、日々の変化は非常に微々たるものです。そのため、体重の変化は1日単位ではなく、数週間単位で評価することが大切です。また朝起きて排尿した後など、なるべく同じ条件で体重を測定するのも大切です。
2〜4週間続けても体重が増えない場合は、追加した食品が普段の食事の代わりになっていないか確認し、摂取量を調整しましょう。
2.市販の栄養補助食品は体重増加に役立つ?
体重を増やしたくても、すぐにお腹がいっぱいになり、一度に多くの食事を食べられない方がいます。そこで役立つのが、市販の栄養補助食品です。
特に、少量で多くのエネルギーを摂取できる商品は、食が細い人にとって便利です。
市販の栄養補助食品を比較
代表的な商品について、各メーカーが公表している栄養成分を比較しました。
| 商品名 | 1回分の容量 | カロリー | タンパク質 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| カロリーメイト ブロック(チーズ味) | 4本・80g | 400kcal | 8.4g | 少量で高カロリー |
| カロリーメイト リキッド(カフェオレ味) | 200ml | 200kcal | 10g | 飲み物で補給できる |
| メイバランスMiniカップ(コーヒー味) | 125ml | 200kcal | 7.5g | 少量で栄養補給できる |
| エンジョイクリミール | 125ml | 200kcal | 7.5g | ビタミン・ミネラルも含む |
| エンジョイハイカロリークリミール300 | 125ml | 300kcal | 7.5g | 少量で高エネルギー |
| inゼリー エネルギー | 180g | 180kcal | 0g | 手軽な糖質補給 |
| 粉飴(マルトデキストリン) | 30g | 約115kcal | ほぼ0g | 食事や飲み物に混ぜられる |
① カロリーメイト|手軽にカロリーを増やしたい人に
カロリーメイトは、大塚製薬が販売する栄養調整食品です。ブロックタイプは1本100kcalで、4本入りの1箱では400kcalを摂取できます。メリットは、何といっても手軽さです。
調理の必要がなく、持ち運びや保存にも適しています。仕事中や移動中など、食事の時間を十分に確保できない方にも便利でしょう。
メリット
- 1本100kcalで摂取量を管理しやすい
- 4本で400kcalを補給できる
- ビタミン・ミネラルも含まれる
- 常温保存・持ち運びが可能
デメリット
- 飲料タイプに比べて水分が少なく、口の中が乾きやすい
- タンパク質の補給効率はそれほど高くない
- 食事の代わりにすると、かえって総摂取カロリーが減る可能性がある
カロリーメイトは、通常の食事を置き換えるのではなく、食事に追加して食べる方法が体重増加には適しています。
② メイバランス|食が細く、食事量を増やせない人に
メイバランスMiniカップは、明治が販売する栄養補助飲料です。125mlという少ない容量で200kcalを摂取できることが特徴です。さらに、1本あたりタンパク質7.5g、カルシウム120mg、鉄1.5mg、亜鉛2.0mgなどが含まれています。固形物をたくさん食べることが難しい方でも取り入れやすい商品です。
メリット
- 125mlで200kcalとエネルギー密度が高い
- タンパク質も補給できる
- ビタミン・ミネラルが含まれる
- 食が細い方でも取り入れやすい
デメリット
- 一般的な飲料と比較して費用がかかる
- 味や甘さが好みに合わない場合がある
- 糖質を含むため、血糖管理が必要な方は注意が必要
個人的には、体重を増やしたいものの食事量を増やせない方に対して、こうした少量高エネルギーの栄養補助飲料は検討しやすい選択肢だと思います。
③ エンジョイハイカロリークリミール300|少量でさらにカロリーを増やしたい人に
森永乳業クリニコの「エンジョイハイカロリークリミール300」は、125mlで300kcalを摂取できる栄養補助飲料です。同じ容量の通常のクリミールが200kcalであるのに対して、こちらは300kcalです。タンパク質は7.5g、脂質は17.8g含まれています。そのため、食事量を増やさずに摂取エネルギーを上げたい場合に適しています。
ただし、脂質の比率が高いため、消化器症状が出やすい方や脂質摂取を制限されている方には適さないことがあります。また、高カロリーの商品を飲むことで普段の食事が減ってしまっては意味がありません。
あくまで通常の食事に追加することが重要です。
④ inゼリー|食欲がないときの補助として
inゼリー エネルギーは、1袋180kcalを摂取できるゼリー飲料です。
コンビニで購入でき、手軽にエネルギーを補給できる反面、一般的な「エネルギー」タイプのタンパク質は0gです。エネルギー源は主に糖質となります。そのため、体重増加だけでなく筋肉量の維持も考える場合、これだけに頼ることはおすすめできません。牛乳やヨーグルト、卵などと組み合わせるとよいでしょう。
なお、inゼリーには複数のシリーズがあり、エネルギー量やタンパク質量が異なります。購入時には商品名だけでなく栄養成分表示を確認してください。
3.栄養補助食品に体重増加の医学的エビデンスはある?
栄養補助食品による体重増加については、複数の臨床研究が行われています。
2009年に発表されたCochraneのシステマティックレビューでは、高齢者を対象とした62試験、合計10,187人のデータが解析されています。タンパク質とエネルギーを含む経口栄養補助食品を使用した場合、対照群と比較して平均2.2%の体重増加率の差が認められました。
ただし、これは主に高齢者や低栄養リスクのある方を対象とした研究です。若く健康な痩せ型女性がメイバランスを飲めば同じ割合で体重が増える、ということを直接示した研究ではありません。
れでも、食事に加えてエネルギーとタンパク質を補給することが、体重増加に役立つという医学的根拠の一つになります。
参考文献:
Milne AC, et al. Protein and energy supplementation in elderly people at risk from malnutrition. Cochrane Database Syst Rev. 2009;(2):CD003288. doi:10.1002/14651858.CD003288.pub3.
4.体重を増やすためにおすすめの食べ物
栄養補助食品は便利ですが、毎日の食事からエネルギーを増やすことも大切です。
特に、食べる量を大きく増やさずにカロリーを増やせる食品が適しています。
ナッツ類
アーモンドやクルミなどのナッツ類は、少量でも多くのエネルギーを含む食品です。
例えば、無塩のローストアーモンドは100gあたり約608kcalです。30g程度でも約180kcalを補給できます。さらに、ビタミンEやマグネシウムなども含まれています。
ただし、脂質が多いため、一度に大量に食べると胃もたれや消化器症状が出る場合があります。
牛乳・ヨーグルト
乳製品は、エネルギーとタンパク質の両方を補給しやすい食品です。普通牛乳は200mlで約120〜130kcal、タンパク質は約6gです。朝食や間食に追加するだけでも摂取量を増やせます。
牛乳が苦手な方は、ヨーグルトやチーズなどを取り入れてもよいでしょう。
オリーブオイル
脂質は1gあたり約9kcalを含みます。
炭水化物やタンパク質が1gあたり約4kcalであることを考えると、脂質はエネルギー密度の高い栄養素です。例えば、サラダやパスタなどにオリーブオイルを10g追加すると、約90kcalを増やせます。
食事量を大きく変えずにカロリーを増やせる方法ですが、脂質だけに偏らず、タンパク質や炭水化物も十分に摂取することが大切です。
その他の食品
| 食品 | 取り入れ方 |
|---|---|
| 卵 | 朝食や間食に追加する |
| チーズ | パンや料理に加える |
| ピーナッツバター | トーストに塗る |
| アボカド | サラダやサンドイッチに加える |
| バナナ | 牛乳と合わせてスムージーにする |
| オートミール | 牛乳やヨーグルトと組み合わせる |
| おにぎり | 通常の食事に間食として追加する |
| ナッツ類 | 少量ずつ間食に取り入れる |
カロリーの高い食品だけを食べるのではなく、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取しながら、総エネルギー量を増やすことが大切です。
5.体重を増やすために不足しやすい栄養素とサプリメント
ここまでカロリーについて解説しましたが、体重を増やす際には栄養バランスも重要です。特に、食事量が少ない方では、エネルギーだけでなくタンパク質やビタミン、ミネラルが不足している可能性があります。ただし、痩せ型だからといって、特定の栄養素が必ず不足しているわけではありません。
サプリメントは、普段の食事内容や必要に応じた検査結果を踏まえて選ぶことが大切です。
① プロテイン|筋肉量も増やしたい人に
タンパク質は、筋肉や皮膚などを構成する重要な栄養素です。単に体脂肪を増やすだけでなく、筋肉量も維持・増加させたい場合には、十分なタンパク質摂取が重要になります。
国際スポーツ栄養学会(ISSN)は、運動を行う健康な成人が筋肉量を増やす場合、1日あたり体重1kgにつき1.4〜2.0gのタンパク質摂取を一つの目安としています。例えば体重45kgの場合、1日約63〜90gです。
ただし、これは主に運動を行う健康な成人を対象とした目安であり、すべての人に必要な量ではありません。
② ビタミンD・カルシウム|骨の健康を考える
ビタミンDとカルシウムは、骨の健康を維持するために重要な栄養素です。ビタミンDはカルシウムの吸収に関与します。
これらが不足している場合は、魚、乳製品、ビタミンDを含む食品などを増やす方法が考えられます。食事だけで十分な摂取量を確保できない方では、サプリメントも選択肢になります。ただし、ビタミンDを大量に摂取すれば体重が増えるというエビデンスはありません。
また、ビタミンDは過剰摂取によって高カルシウム血症などを起こす可能性があります。複数のサプリメントを併用する場合は、含有量が重複していないか確認しましょう。
③ 鉄|月経のある女性では不足に注意
女性の場合、月経による鉄の喪失があるため、鉄不足に注意が必要です。鉄が不足すると、疲労感や息切れなどの症状が出ることがあります。
肉類や魚介類、大豆製品などを取り入れることが基本ですが、鉄欠乏が疑われる場合は血算やフェリチンなどを確認することが重要です。鉄のサプリメントは、むやみに摂取することをおすすめしません。
高用量の鉄サプリメントは便秘や腹痛、吐き気などの原因になり、過剰摂取による健康被害もあります。
鉄欠乏が確認された場合は、医師の判断のもとで適切に補充しましょう。
④ ビタミンB12|動物性食品をあまり食べない人に
ビタミンB12は、赤血球の形成や神経機能などに関わる栄養素です。主に肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品に含まれています。
そのため、完全菜食の方や動物性食品をほとんど食べない方では不足に注意が必要です。食事からの摂取が難しい場合には、ビタミンB12を添加した食品やサプリメントによる補給が選択肢になります。
体重を増やしたい人におすすめのサプリメントの考え方
| 種類 | 主な目的 | 使用を検討する場面 |
|---|---|---|
| プロテイン | タンパク質補給 | 食事から十分に摂取できない場合 |
| マルチビタミン・ミネラル | 不足しやすい栄養素の補助 | 食事の種類が限られている場合 |
| ビタミンD | ビタミンDの補給 | 摂取不足や欠乏が疑われる場合 |
| カルシウム | カルシウムの補給 | 乳製品などをあまり摂取しない場合 |
| 鉄 | 鉄欠乏の改善 | 鉄欠乏が確認された場合 |
| ビタミンB12 | ビタミンB12の補給 | 完全菜食や吸収障害などがある場合 |
体重が増えない方は総合的に栄養不足であることが多いです。体重増加を目指すのであれば、まずは十分なエネルギーを摂取し、不足する栄養素を補助するという考え方が大切です。
6.筋肉と脂肪、どちらを増やすべき?
体重を増やすときに考えたいのが、体重の内訳です。
体重すべてが脂肪ではありません。筋肉量や体内の水分量なども含まれています。
2012年にJAMAに掲載されたランダム化比較試験では、25人の健康な成人に対して、タンパク質量の異なる食事を用いた過剰摂取実験が行われました。その結果、摂取エネルギーが体脂肪の増加に関係する一方で、食事中のタンパク質量は除脂肪体重(=筋肉)やエネルギー消費量の変化に関係していました。
つまり、単にカロリーを増やすだけではなく、タンパク質を十分に摂ることも重要です。
また、2018年に発表された49試験、1,863人を対象としたメタ解析では、筋力トレーニングにタンパク質補給を組み合わせることで、筋力や除脂肪体重の増加が認められました。体重を増やしながら筋肉量も増やしたい方は、適度な筋力トレーニングを取り入れることも選択肢です。
7.脂肪豊胸を検討している人は、体重を増やした方がよい?
ここからは美容外科医としての考えです。
脂肪豊胸では、自分自身の体から脂肪を採取し、乳房に注入します。そのため、脂肪の採取量を十分に確保できるかどうかは、手術計画を考えるうえで重要な要素になります。痩せ型の方であっても脂肪豊胸が可能な場合はありますが、希望するサイズや必要な注入量によっては、採取できる脂肪が限られることがあります。
ただし、体重を増やしたからといって、必ずしも脂肪の採取量が大幅に増えるとは限りません。脂肪が増える部位や増え方には個人差があるためです。
また、食事によって体重を増やしても、胸だけを選択的に大きくすることはできません。脂肪豊胸の可否はBMIだけで判断するものではなく、実際の脂肪の分布や皮膚の状態、希望する乳房の大きさなどを総合的に評価する必要があります。体重増加を検討する場合も、無理に短期間で太るのではなく、健康状態を維持しながら進めることが大切です。
脂肪豊胸の注入量や生着については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
8.体重を増やすための具体的な食事プラン
実際に体重を増やす場合、どのように食品を組み合わせればよいのでしょうか。ここでは、一般的な健康成人が普段の食事に300〜500kcal程度を追加する場合の例を紹介します。
| タイミング | 追加する食品 | 追加カロリーの目安 |
|---|---|---|
| 朝食 | 普段の朝食に牛乳200mlを追加 | 約120〜130kcal |
| 午前の間食 | アーモンド約20g | 約120kcal |
| 昼食 | 通常の食事 | — |
| 午後の間食 | メイバランスMiniカップ1本 | 200kcal |
| 夕食 | 通常の食事 | — |
| 合計 | 通常の食事への追加分 | 約440〜450kcal |
普段の食事にカロリーを追加すれば、普段の生活を大きく変える必要はないため、おすすめです。ただし、間食によって満腹になり、昼食や夕食の量が減ってしまう場合は、追加するタイミングや量を調整してください。
体重を増やすために大切なのは、1回の食事量を無理に増やすことではなく、1日全体の摂取エネルギーを増やすことです。
9.食べても体重が増えない場合は病気が隠れていることも
食事量を増やしても体重が増えない場合、消費エネルギーが多いことや、食事量を実際より多く見積もっていることなどが考えられます。
一方で、病気が原因となっている場合もあります。甲状腺機能亢進症、糖尿病、消化吸収障害などでは、意図しない体重減少が起こることがあります。特に、以前は体重が安定していたのに急に痩せ始めた場合や、食欲があるのに体重が減り続ける場合には注意が必要です。
まとめ|健康的に体重を増やすために
体重を増やしたい方に、まず意識していただきたいのは「普段の食事に少しずつエネルギーを追加する」という考え方です。食が細い方では、カロリーメイトやメイバランスなどの栄養補助食品を利用することも合理的な方法です。一方で、単に体重を増やすだけでなく、筋肉量や骨の健康を維持するためには、タンパク質やビタミン、ミネラルも重要になります。
サプリメントはあくまで不足する栄養素を補うものであり、十分な食事の代わりになるものではありません。
体重を増やす目的は人それぞれです。健康状態を改善したい方、筋肉量を増やしたい方、女性らしい丸みのある体型を目指したい方など、それぞれの目的に合った方法を選ぶことが大切です。脂肪豊胸を検討している方についても、無理に体重を増やす必要があるとは限りません。
まずは現在の体型や脂肪の分布を確認し、自分に適した方法を検討しましょう。
この記事を書いた人
形成外科専門医 / 美容外科(JSAPS・JSAS)専門医
THE CLINIC 東京院 / BUST CLINIC / 埼玉医科大学 形成外科・美容外科
【経歴・人物】 日本専門医機構認定形成外科専門医。 現在はTHE CLINIC Tokyoにて、脂肪吸引・脂肪注入を中心としたボディデザイン診療を行う。
医師として臨床現場に立つ傍ら、「医学的に正確で、患者様が理解しやすい医療コンテンツ」の不足に課題を感じ、曖昧なネット情報に惑わされる患者様を減らすため、医学論文(一次情報)に基づいたエビデンスベースの発信を徹底している。
【保有資格・所属学会】
- 日本専門医機構認定 形成外科専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)認定美容外科専門医
- VASER認定医
【専門分野】
- 形成外科全般
- 脂肪吸引・脂肪注入(豊胸・エイジングケア)
- 医療ダイエット・肥満症治療管理
- 医療論文解説
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参考文献・参考資料
- Milne AC, et al. Protein and energy supplementation in elderly people at risk from malnutrition. Cochrane Database Syst Rev. 2009;(2):CD003288. doi:10.1002/14651858.CD003288.pub3
- Bray GA, et al. Effect of dietary protein content on weight gain, energy expenditure, and body composition during overeating: a randomized controlled trial. JAMA. 2012;307(1):47-55. doi:10.1001/jama.2011.1918
- Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med. 2018;52(6):376-384. doi:10.1136/bjsports-2017-097608
- Jäger R, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:20. doi:10.1186/s12970-017-0177-8
- NHS. Healthy ways to gain weight.
https://www.nhs.uk/live-well/healthy-weight/managing-your-weight/healthy-ways-to-gain-weight/ - National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Nutrition support for adults: oral nutrition support, enteral tube feeding and parenteral nutrition. Clinical guideline CG32.
https://www.nice.org.uk/guidance/cg32 - 厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版).
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html - 文部科学省.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年.
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html

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