
「一番太る食べ物は何ですか?」
「同じカロリーなら、何を食べても同じように太るのでしょうか?」
よくこういった質問をよく目にしますが、特定の食べ物を1回食べただけで太るわけではありません。体重は最終的には、長期的な摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスによって変化します。しかし、実際の食生活では食品によって「つい食べ過ぎてしまうか」「満腹になりやすいか」が大きく異なります。
約12万人を長期間追跡した研究では、ポテトチップス、じゃがいも類、加糖飲料などの摂取増加が、より大きな体重増加と関連していました。一方、ヨーグルト、ナッツ、果物、全粒穀物、野菜などは、体重増加が少ない方向との関連が示されています。[1]
この記事では医学論文をもとに、
- 一番太りやすい食べ物は何か
- 太る食べ物に共通する特徴
- 太りにくい食べ物
- 同じカロリーでも食べ過ぎやすさが違う理由
- 太らないための現実的な食べ方
を形成外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
この記事の結論|太る食べ物を30秒で
- 長期追跡研究で体重増加との関連が最も大きかった食品の一つは「ポテトチップス」です。
- 続いて、じゃがいも類(特にフライドポテト)、加糖飲料などが体重増加と関連していました。
- 共通するのは、単にカロリーが高いだけでなく、食べやすく、満腹感を得にくく、結果として摂取カロリーが増えやすいことです。
- 反対に、ヨーグルト、果物、全粒穀物、ナッツ、野菜などは長期的な体重管理に有利な方向との関連が報告されています。
- 重要なのは「絶対に食べてはいけない食品」を決めることではなく、太りやすい食品を食べる頻度と量を減らし、食べ過ぎにくい食品へ置き換えることです。


一番太る食べ物は?約12万人の長期研究から見るランキング
2011年に New England Journal of Medicine に掲載された研究では、米国の医療従事者120,877人を長期間追跡し、食生活の変化と4年ごとの体重変化との関係が調べられました。[1]
その結果、摂取量の増加と体重増加との関連が大きかった食品は以下の通りでした。
| 順位 | 食品・飲み物 | 1日1サービング増えた場合の4年間の体重変化との関連 |
|---|---|---|
| 1位 | ポテトチップス | +1.69 lb(約0.77 kg) |
| 2位 | じゃがいも類 | +1.28 lb(約0.58 kg) |
| 3位 | 加糖飲料 | +1.00 lb(約0.45 kg) |
| 4位 | 未加工の赤身肉 | +0.95 lb(約0.43 kg) |
| 5位 | 加工肉 | +0.93 lb(約0.42 kg) |
※これは観察研究であり、「その食品によってこの体重増加が直接起こった」ことを証明したものではありません。食品の摂取量の変化と体重変化との関連を示した結果です。
長期的に見て「一番太る食べ物」第1位はポテトチップス

この研究で特に目立ったのがポテトチップスでした。さらに、じゃがいも類を詳しく解析すると、フライドポテトの摂取増加は、ゆでる・焼く・つぶすなどの調理法よりも大きな体重増加と関連していました。[1]
重要なのは、じゃがいもそのものを「太る食材」と決めつけないことです。同じじゃがいもでも、ゆでたじゃがいもと、油で揚げて塩味をつけたフライドポテトやポテトチップス
では、エネルギー密度や食べる速度、食べ過ぎやすさが大きく異なります。つまり「何を食べるか」だけではなく、どのように加工・調理されているかも重要です。
なぜポテトチップスやジャンクフードは太りやすいのか?
「脂質と糖質が多いから」と考える方も多いと思います。もちろんカロリーは重要です。しかし、もう一つ重要なのが、その食品がどれだけ自然に食べる量を増やしてしまうかという点です。
「ポテトチップス」vs「全く同じ比率の成分」の比較(ラットの脳MRI研究)
ラットでの研究があります。太る原因は、「ポテトチップスそのもの」なのか?それとも「ポテトチップスの栄養成分だけを抽出したもの」なのか?それを比較した2013年の研究です。ラットを以下の群に分けて、摂食行動と脳の報酬系をMRIで観察しました。
- 本物のポテトチップスを与えた群
- ポテトチップスと完全に同じ比率の脂肪と炭水化物の混合物(成分のみ)を与えた群
結果:
カロリーもPFCバランスも(成分上は)全く同じであるにもかかわらず、「本物のポテトチップス」を食べたラットの方が圧倒的に多く過食し、脳の報酬系(快楽中枢)が異常に強く活性化していました。 これは、脂肪と炭水化物という「成分」のカロリーだけでは説明がつかず、ポテチ特有の食感(クランチ感)や塩分、風味の絶妙なバランスが脳をマイルドドラッグ状態にし、満腹中枢を麻痺させるヘドニック・イーティング(快楽的摂食)を引き起こすことを示しています。
超加工食品では、自然に食べるカロリーが増えた
Hallらは、20人の成人を入院環境で管理し、
- 超加工食品を中心とした食事
- 未加工または加工度の低い食品を中心とした食事
をそれぞれ2週間、好きなだけ食べてもらうランダム化クロスオーバー試験を行いました。提示する食事は、カロリー、エネルギー密度、三大栄養素、糖、ナトリウム、食物繊維などができる限り合うよう設計されていました。
しかし実際には、超加工食品の期間では平均約508 kcal/日多く食べていました。その2週間で平均約0.9kg体重が増え、未加工食の期間では逆に約0.9kg減少しました。[3]
ここで大切なのは「同じカロリーを食べても超加工食品だけが特別に脂肪になる」という意味ではないことです。むしろ、超加工食品では、結果として実際に食べる量が増えやすかったことがポイントです。
「一番太る料理」は何?
食品単体より、実際には組み合わせでカロリーが増えることも重要です。例えば、
- 揚げ物+白い主食+甘い飲み物
- ラーメン+チャーハン
- ピザ+加糖飲料
- 菓子パン+甘いカフェ飲料
- ポテト+ハンバーガー+清涼飲料水
のような食事は、エネルギー密度が高くなりやすい上、短時間で多く摂取しやすくなります。一つの食品だけを「悪者」にするより、高カロリーな食品を複数組み合わせる習慣がないかを見るほうが実践的です。
「太る食べ物」に共通する4つの特徴
研究結果を実際の食生活に落とし込むと、太りやすい食品にはいくつか共通点があります。
1.少量でもカロリーが高い
ポテトチップス、菓子、揚げ物などは、水分量が少なく脂質を多く含むため、少ない量でもエネルギーが高くなりやすい食品です。お腹いっぱいになる前に、多くのカロリーを摂取しやすくなります。
2.食べるスピードが速くなりやすい
柔らかい食品、飲料、スナック菓子などは、噛む回数が少なく短時間で摂取できます。満腹感が追いつく前に摂取量が増えやすい点には注意が必要です。
3.液体でカロリーを摂取する
コーラ、ジュース、甘いカフェ飲料、加糖乳酸菌飲料、スポーツドリンクなどは、食べ物よりも短時間で摂取しやすい食品です。加糖飲料については、前向き研究やランダム化試験をまとめたメタ解析でも、摂取量の増加と体重増加との関連が認められています。[4]
WHOも、加糖飲料から得られるエネルギーは固形食品ほど満腹感につながらず、結果として総摂取エネルギーを増やす可能性があるとしています。
4.「また食べたい」と感じやすい
脂質、精製された炭水化物、塩分、香味などが組み合わされた食品は非常に食べやすく、意識しないうちに摂取量が増えることがあります。
「夕食はそれほど食べていないのに太る」という方でも、
- お菓子
- ポテトチップス
- 甘い飲み物
- カフェラテ
- つまみ食い
などを合計すると、想像以上のエネルギー摂取になっていることがあります。
炭水化物は全部太る?重要なのは「量」だけでなく「質」
「炭水化物は太るから食べないほうがいい」と考える必要はありません。
2023年に BMJ に掲載された約13.6万人の前向きコホート研究では、炭水化物の供給源によって長期的な体重変化との関連が異なっていました。精製穀物やでんぷん質の多い野菜、添加糖などの増加は、より大きな体重増加と関連しました。
一方、
- 全粒穀物
- 果物
- 非でんぷん性野菜
- 食物繊維
の増加は、体重増加が少ない方向との関連を示しました。[2]つまり、「炭水化物だから太る」のではなく、何から炭水化物を摂るかが重要ということです。
反対に「太りにくい食べ物」は?
同じNEJMの長期追跡研究では、摂取量の増加がより少ない体重増加と関連した食品も報告されています。[1]
| 食品 | 4年間の体重変化との関連 |
| ヨーグルト | -0.82 lb |
| ナッツ | -0.57 lb |
| 果物 | -0.49 lb |
| 全粒穀物 | -0.37 lb |
| 野菜 | -0.22 lb |
ただし、こちらも「ヨーグルトを食べれば必ず痩せる」という意味ではありません。
これらの食品を多く摂取する食習慣が、長期的に体重が増えにくい生活パターンと関連していた、という結果です。
太りにくい食品に共通する特徴
比較的体重管理に向いている食品には、
- 食物繊維が多い
- たんぱく質を含む
- 水分量が多い
- よく噛む必要がある
- 加工度が低い
- 満腹感を得やすい
といった特徴があります。
長期的に太りやすい食品・太りにくい食品
以下の表は、現在のエビデンスを実臨床的にまとめたものです。
| 区分 | 代表例 | 太りやすさ/太りにくさの理由 | エビデンスの要点 |
| 太りやすい食品 | ポテトチップス、フライドポテト | 高い嗜好性、食べやすさ、低い満腹感、でんぷん+脂質+塩分の組み合わせ | 長期追跡でポテトチップスは体重増加と最も強く関連した食品の一つ。[1] |
| 太りやすい飲み物 | 加糖飲料、甘い乳酸菌飲料、砂糖入りコーヒー飲料、スポーツドリンク | 液体カロリーは咀嚼が少なく満腹感が弱いため、総摂取カロリーが増えやすい | 加糖飲料は成人・小児とも体重増加と関連するというメタ解析がある。[4] |
| 注意が必要な炭水化物 | 白パン、菓子パン、精製穀物、砂糖の多いシリアル | GI/GLが高くなりやすく、食後血糖の変動が大きくなりやすい | 炭水化物の「量」よりも「質」と「供給源」が重要で、精製穀物や添加糖の増加は体重増加と関連した。[2] |
| 比較的太りにくい食品 | 無糖ヨーグルト、果物、全粒穀物、豆類、非でんぷん性野菜 | たんぱく質・食物繊維・水分により満腹感を得やすい | ヨーグルト、果物、全粒穀物、非でんぷん性野菜は体重管理に有利な方向と関連した。[1] [2] |
| 加工度の低い主食 | オートミール、玄米、雑穀、全粒粉パン | 食物繊維が多く、GLを下げやすい | 低GI/低GL食は少なくとも一部の研究で体重管理に有利で、特に高GI食より維持しやすい可能性がある。[5] [6] |
| たんぱく質源として有利 | ギリシャヨーグルト、魚、卵、鶏むね肉、豆腐、納豆 | 満腹感が高く、間食や総摂取エネルギーを抑えやすい | たんぱく質をやや高めにした食事は、体重再増加を抑えやすい。[6] [7] |
太らないために実践しやすい5つのルール
食生活は「禁止事項」を増やしすぎると続きません。そこで、実際には次の5つを意識するだけでもかなり整理できます。
1.飲み物は無糖にする
水、無糖茶、炭酸水などを基本にします。「食事は気をつけているのに痩せない」という方に、意外と多いのが飲み物からのカロリーです。注意したいのは、
- コーラなどの清涼飲料水
- 甘い乳酸菌飲料
- 果糖・砂糖を加えたジュース
- スポーツドリンク
- 砂糖入りコーヒー
- 甘いカフェラテ
- エナジードリンク
「乳酸菌」「ビタミン」「スポーツ」といった健康的なイメージがある商品でも、砂糖を多く含む場合があります。加糖飲料は、大規模コホート研究でも体重増加との関連が示されており、メタ解析でも成人・小児の体重増加との関連が確認されています。[1][4]
日常的な水分補給は、
- 水
- 炭酸水
- 無糖のお茶
- 無糖コーヒー
などを基本にするとシンプルです。
2.ポテトチップスや菓子は「食事」ではなく嗜好品と考える
食べてはいけないわけではありません。しかし、袋から直接食べ続けるのではなく、量と頻度を決めたほうが管理しやすくなります。
3.毎食たんぱく質源を一つ入れる
卵、魚、肉、大豆製品、乳製品などを組み合わせます。
4.主食はゼロにせず「質と量」を考える
全粒穀物、オートミール、雑穀、豆類などを利用するのも一つの方法です。
5.カロリーだけで食品を判断しない
100 kcalの食品だからすべて同じ、とは考えず、その100 kcalでどれくらい満腹になり、その後の食事量がどう変わるかまで考えることが大切です。
GIとGL:体重管理における「炭水化物の質」をみる指標・・・参考になるが、それだけで決めない
GI(Glycemic Index)は、炭水化物を含む食品が食後血糖をどの程度上昇させやすいかを示す指標です。GL(Glycemic Load)はGIに加えて、その食品に含まれる炭水化物量も考慮します。
GL = 炭水化物量(g)× GI / 100 と表されます。[5]
体重管理ではGI・GLも一つの参考になりますが、GIが低ければ何をどれだけ食べても太らないわけではありません。
実際の食事では、
- 食べる量
- 食物繊維
- たんぱく質
- 脂質
- 加工度
- 食べる速度
- 液体か固体か
などをまとめて考える必要があります。
一応、減量後の体重維持を調べたDiOGenes試験で、やや高たんぱく・低GIの食事が体重再増加を抑える方向に働いたという報告があります。[6]
| 観点 | 体重管理に不利になりやすい例 | 体重管理に有利になりやすい例 | 補足 |
| GI/GL | 白パン、砂糖の多い菓子、加糖飲料 | 豆類、全粒穀物、果物、非でんぷん性野菜 | GIは単独ではなく、GLや食物繊維と併せて解釈する。[2] [5] |
| 加工度 | スナック菓子、菓子パン、即食型の超加工食品 | 未加工または加工度の低い食品 | 加工度が高いほど、自由摂取エネルギーが増えやすい可能性がある。[3] |
| 形状 | ジュース、砂糖入り乳酸菌飲料、甘いカフェ飲料 | 水、無糖茶、無糖ヨーグルト、果物 | 液体カロリーは満腹感が弱い。[4] |
| 満腹感 | 柔らかく速く食べられる食品 | 咀嚼を要し、たんぱく質・食物繊維が多い食品 | 食感・テクスチャも摂取量に影響する。[7] [8] |
PFCバランスは「完璧な比率」より食事全体を見る
PFCバランスとは、Protein(たんぱく質)・Fat(脂質)・Carbohydrate(炭水化物)のエネルギー配分のことです。体重管理というと「PFCを何%ずつにすればよいか」という数字に意識が向きがちですが、実際には細かな比率だけにこだわる必要はありません。
まず意識したいのは、たんぱく質が極端に少なくならないことそして、菓子・精製糖質・液体カロリーばかりにならないことです。
例えば、
| よくある食事 | 改善例 |
| 菓子パン+甘いカフェラテ | パン+卵+無糖飲料 |
| サラダだけ | サラダ+鶏肉・卵・豆腐など |
| ポテトチップスを間食 | 無糖ヨーグルト・果物など |
| 甘い乳酸菌飲料 | 無糖ヨーグルト+水・お茶 |
| 白い主食だけ大量に食べる | 主食量を調整し、たんぱく質・野菜を組み合わせる |
といった変更が医学的におすすめです。
「カロリーゼロ」の人工甘味料なら太らない?
砂糖入り飲料の代わりにゼロカロリー飲料を選ぶ方も多いと思います。
しかし、カロリーゼロだから安全というわけではありません。
WHO(世界保健機関)による勧告
2023年5月、WHO(世界保健機関)は「非糖質系甘味料(NSS:人工甘味料など)を、体重管理や非感染性疾患(NCDs)のリスク低減のために使用しないことを推奨する」という新しいガイドラインを発表しました。
WHOのシステマティックレビューによると、人工甘味料の使用は成人および小児における長期的な体脂肪の減少に有益な効果をもたらさないだけでなく、長期的な使用によって2型糖尿病や心血管疾患のリスクが増加する可能性が示唆されています。
なお、この推奨はconditional(条件付き)です。観察研究では、もともとの肥満や生活習慣などによる交絡の可能性もあるため、「人工甘味料を飲むと糖尿病や心血管疾患になる」と断定する内容ではありません。
なぜカロリーゼロでも太りやすくなるのか?
明確なメカニズムは現在も研究段階ですが、主に以下の要因が指摘されています。
- 脳の報酬系と代謝の混乱: 舌で「強い甘み」を感じているのに、体内には糖(エネルギー)が入ってこないという矛盾が生じます。これにより脳の報酬系が満たされず、結果的に「もっと甘いものが欲しい」「もっと食べたい」という食欲を誘発しやすくなります。
- 腸内環境への悪影響: 一部の人工甘味料は腸内細菌叢(マイクロバイオーム)のバランスを崩し、糖代謝の異常やインスリン抵抗性を引き起こす(=太りやすい体質になる)可能性が複数の研究で指摘されています。
【専門医からのアドバイス】
日常的な水分補給は、水や無糖のお茶、ブラックコーヒーなどに切り替えるのが、長期的な健康とボディラインの維持において最も確実な選択です。
お酒のカロリーも危険
「アルコールのカロリーは熱として発散されるから通常のカロリーとは別」という説を聞いたことがあるかもしれません。しかし、これは大きな誤解です。
アルコールが「脂肪燃焼」をストップさせる
体内に入ったアルコール(エタノール)は、体にとって毒素とみなされるため、肝臓で最優先で分解・代謝されます。問題は、肝臓がアルコールの処理にかかりきりになっている間、体内の脂質(脂肪)の酸化(燃焼)プロセスが大幅に抑制されてしまうことです。
カリフォルニア大学バークレー校のSilerらによる研究(1999年)では、24gのアルコール(ビール中瓶約1本分)を摂取しただけで、体内の脂質の酸化(脂肪燃焼)が73%も減少することが確認されています。
つまり、お酒と一緒に唐揚げやポテトフライ、シメのラーメンなどを食べると、それらに含まれる脂質や糖質はエネルギーとして消費されず、そのまま皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されやすくなってしまうのです。
食欲のブレーキが外れるリスク
アルコールには理性を司る大脳皮質の働きを鈍らせる作用があります。これにより「ダイエット中だから食べるのを控えよう」という抑制が外れ、満腹中枢も麻痺しやすくなるため、無意識のうちに大幅なカロリーオーバーを招きます。
【専門医からのアドバイス】
脂肪吸引でせっかく綺麗なボディラインを作っても、過度な飲酒と高カロリーなおつまみの習慣が続けば、内臓脂肪が増加してぽっこりとお腹が出てしまいます(内臓脂肪は脂肪吸引では除去できません)。お酒を飲む際は「脂肪燃焼が止まっている状態」であることを意識し、おつまみは低脂質・高タンパクなもの(枝豆、冷奴、お刺身など)を選ぶよう心がけましょう。
同じカロリーでも「食べる時間」で太り方は変わる?時間栄養学の結論
「太る食べ物を避けているけれど、食べる時間までは意識していなかった」という方は少なくありません。実は、全く同じメニュー・同じカロリーの食事であっても、朝食べるのと夜食べるのとでは、体内での脂肪のつき方に決定的な違いが生じます。
これには、私たちの体に備わっている「体内時計」と遺伝子が深く関係しています。
① 夜に脂肪を溜め込む「BMAL1(ビーマルワン)」の働き
人間の体内には、肥満遺伝子の一種と呼ばれる「BMAL1」というタンパク質が存在します。このBMAL1には「体に脂肪を蓄積せよ」という命令を出す働きがありますが、その分泌量は時間帯によって大きく変動します。
- 日中(14時頃): 分泌量が最も少なく、脂肪になりにくい
- 夜間(22時〜深夜2時): 分泌量が日中の約20倍〜50倍に急増する
つまり、同じ「太りやすい食べ物(糖質や脂質)」を食べるにしても、夜遅くに摂取すると、このBMAL1の働きによってダイレクトに皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられてしまうのです。
② 「朝食」が代謝のスイッチを入れる(DIT:食事誘発性熱産生)
もう一つの理由は、食事をした後に消費されるエネルギー(食事誘発性熱産生:DIT)の差です。 人間の代謝レベルは朝が最も高く、朝食を食べることで体内時計がリセットされ、その日1日のエネルギー消費モード(代謝のスイッチ)が入ります。
科学的な研究でも、「朝食を多く食べるグループ」と「夕食を多く食べるグループ」を比較したところ、全く同じ総カロリー摂取量であるにもかかわらず、夕食型グループの方が明らかに体重が増加し、脂質代謝が悪化することが実証されています。
美容医療の観点からのまとめ
脂肪吸引や医療ダイエットを検討する方でも、長期的な体型維持は日々の食習慣の影響を強く受けます。
ここで重要なのは、完璧な食事を目指すことではありません。むしろ、太りやすい食品の共通点を知り、それを少しずつ外していくことが現実的です。
太りやすい食品の特徴は、超加工であること、液体カロリーであること、精製糖質中心であること、たんぱく質や食物繊維が少なく満腹感が弱いことです。
逆に太りにくい食品の特徴は、加工度が低く、固形で、たんぱく質や食物繊維を含み、食後の血糖変動が比較的穏やかで、食べ過ぎを起こしにくいことです。[1] [2] [3] [4] [6] [7]
つまり、体重管理の本質は、「何kcal食べたか」だけでなく、「どのような食品からそのkcalを摂ったか」にあります。ポテトチップス、フライドポテト、加糖飲料、菓子パンのような過食を起こしやすい食品を減らし、無糖ヨーグルト、果物、豆類、全粒穀物、非でんぷん性野菜、十分なたんぱく質を含む食事に寄せていくことが、もっとも効果的方法です。
【補足】脂肪豊胸・脂肪注入のために「健康的に太りたい(皮下脂肪を増やしたい)」方へ

この記事にたどり着いた方の中には、ダイエット目的ではなく、「脂肪豊胸や顔への脂肪注入を控えており、あえて皮下脂肪を増やしたい(太りたい)」という目的で検索された方もいらっしゃるかもしれません。美容外科の臨床現場でも、理想のバストや輪郭を作るために、術前に「少し体重(皮下脂肪)を増やしてきてください」とお願いするケースは実際にあります。
しかし、手っ取り早く太ろうとして、この記事で紹介した「ポテトチップス」や「甘い乳酸菌飲料(加糖飲料)」「過度なアルコール」に頼るのは絶対に避けてください。
これらで急激に増量した場合、以下の医学的なデメリットが生じます。
- 増えるのは「内臓脂肪」: ジャンクフードやアルコールによるカロリーオーバーで増えやすいのは内臓脂肪です。脂肪吸引で採取できるのは「皮下脂肪」のみであり、内臓脂肪は物理的に吸引できません。お腹だけがぽっこりと出てしまい、目的の部位(太ももや二の腕など)の皮下脂肪は十分に確保できないという事態に陥ります。
- 麻酔や手術への悪影響: 超加工食品やアルコール過多の食事は、肝機能の低下や脂質異常症を引き起こしやすくなります。術前の血液検査で異常値が出た場合、安全な麻酔管理が困難と判断され、手術が延期になるリスクがあります。
良質な「皮下脂肪」を増やすための正しいアプローチ
健康的に、かつ定着率の良い良質な皮下脂肪を蓄えるためには、全体の摂取カロリーを消費カロリーより多くしつつ(オーバーカロリー)、「食事の質」を高く保つことが鉄則です。
具体的には、以下の食材を毎日の食事にプラスして摂取カロリーを底上げしてください。
- 良質な脂質(オメガ3・オメガ9): アボカド、ナッツ類(くるみ、アーモンド)、青魚(サバ・イワシ)、エクストラバージンオリーブオイル
- 質の高い炭水化物: 玄米、オートミール、さつまいも(急激な血糖値スパイクを防ぎつつ、エネルギーをしっかり確保します)
- 十分なたんぱく質: 卵、鶏肉、魚介類、大豆製品(健康的な組織構築に不可欠です)
- 鉄、亜鉛などのミネラル補給 術後は不足しやすいので、食事やサプリから摂取
| 不足しやすいミネラル | 主な自覚症状 | 効率的な食材 |
| 鉄 | 疲労感、冷え、息切れ、痩せにくい | 赤身肉、レバー、あさり |
| 亜鉛 | 肌荒れ、抜け毛、味覚が鈍る | 牡蠣、牛肉、卵 |
| マグネシウム | 便秘、足がつる、イライラ | わかめ、納豆、アーモンド |
| カルシウム | イライラ、骨密度の低下 | 無糖ヨーグルト、小魚 |
「太る=ジャンクフードを食べる」という発想は捨て、この記事で紹介したような「質の高い食品」の摂取量(ボリューム)を増やすアプローチこそが、美容医療における最も美しく安全な増量法です。
ただしオメガ3など、術前に休止が必要なサプリがありますので、医師の指示に従ってくださいね。

よくある質問(Q&A)
- Qカロリーや栄養素(脂質や糖質)が同じなら、何を食べても太りやすさは同じですか?
- A
いいえ、大きく異なります。ラットを用いた脳MRI研究では、カロリーや栄養成分が全く同じでも、「成分だけのもの」より「本物のポテトチップス」を食べたラットの方が圧倒的に過食してしまうことが分かっています。食感(クランチ感)や塩分の絶妙なバランスが脳の快楽中枢を刺激し、満腹感を麻痺させてしまう(ヘドニック・イーティング)ためです。
- Q腸内環境のために毎日「乳酸菌飲料」を飲んでいますが、太る原因になりますか?
- A
市販の甘い乳酸菌飲料の多くは「加糖飲料」に分類され、太る原因になりやすいため注意が必要です。健康的なイメージがありますが、実際には異性化糖(果糖ぶどう糖液糖など)が大量に含まれている製品も少なくありません。液体状の糖分は体内に急激に吸収され、ダイレクトに脂肪として蓄積されやすい特徴があります。
- Q乳酸菌を摂りつつ体型維持をするには、何を選べばいいですか?
- A
「無糖のヨーグルト」が最もおすすめです。ハーバード大学の長期的な追跡調査において、体重増加を防ぐ効果が最も高かった食品の第1位がヨーグルトでした。砂糖が添加されていない無糖タイプを選ぶことで、良質なタンパク質と乳酸菌を健康的に摂取でき、長期的な体型管理に役立ちます。
- Q長期的に見て、最も体重を増やしてしまう食べ物は何ですか?
- A
12万人以上を対象とした大規模な調査によると、体重増加に最も悪影響を与えていた食品の第1位は「ポテトチップス」、第2位は「じゃがいも類(フライドポテトなど)」、第3位が「加糖飲料」でした。これらは血糖値を急激に上昇させ、結果的に食べ過ぎを招きやすい食品の代表格です。
この記事を書いた人
吉田 有希(Yuuki Yoshida) 形成外科専門医 / 美容外科(JSAPS)専門医
THE CLINIC 東京院 / BUST CLINIC / 埼玉医科大学 形成外科・美容外科
【経歴・人物】 日本専門医機構認定形成外科専門医。 現在はTHE CLINIC Tokyoにて、脂肪吸引・脂肪注入を中心としたボディデザイン診療を行う。
医師として臨床現場に立つ傍ら、「医学的に正確で、患者様が理解しやすい医療コンテンツ」の不足に課題を感じ、曖昧なネット情報に惑わされる患者様を減らすため、医学論文(一次情報)に基づいたエビデンスベースの発信を徹底している。
【保有資格・所属学会】
- 日本専門医機構認定 形成外科専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS)専門医
- VASER認定医
【専門分野】
- 形成外科全般
- 脂肪吸引・脂肪注入(豊胸・エイジングケア)
- 医療ダイエット・肥満症治療管理
- 医療論文解説
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吉田診察希望の方は、その他欄に「吉田希望」とお書きください。
参考文献
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