【顔の脂肪吸引】術後の「ボコボコ」は失敗?いつ治る?拘縮と修正を専門医が解説

脂肪吸引後にしばらくしてくると、だんだんボコボコしてきます。この拘縮が顔に出るとなかなか隠せないので心配なことがあるかと思います。

ただ顔の脂肪吸引後のボコボコは、術後6ヶ月以内であれば「拘縮」という正常な治癒過程の途中である可能性が高いです。6ヶ月を過ぎても改善しない場合、「取りすぎによる癒着」または「取り残し」を疑います。

その場合、取りすぎの部位は脂肪注入、取り残しは再吸引による修正が必要なことがあります。
この記事では形成外科・美容外科専門医であるDrよしだが、術後のボコボコについて解説していきます。

なぜ顔の脂肪吸引後にボコボコが起こるの?

顔の脂肪吸引後に見られる凹凸(ボコボコ)は、2つの全く異なるメカニズムで起こります。

  • 時間とともに改善するもの(拘縮)
  • 自然には改善しないもの(取りムラ)

この見極めが重要です。しかし術直後はこの区別が難しい場合があります。

① 創傷治癒過程による「拘縮(Induration)」

脂肪吸引では皮下脂肪が除去され、皮下に空間が生じます。
体はこの空間を修復するため、創傷治癒反応を起こします。

  • 炎症期(術後数日〜)
    腫れ・内出血・痛み
  • 増殖期(術後3週間〜)
    コラーゲン産生が増加し、皮膚が硬くなり収縮

この増殖期に生じる硬さ・凹凸が拘縮です。

👉 触ると硬い/皮膚が波打つ/一時的にボコボコ見える
👉 皮膚が引き締まっている証拠であり、多くは時間とともに改善

② 解剖学的要因による「取りすぎ・取り残し」

顔(特に顎下・ジョール部)は

  • 皮膚が薄い
  • 直下に表情筋が存在

という特徴があります。

▷ 取りすぎ(Over-correction)

脂肪を過剰に除去すると、皮膚と筋膜が癒着し、以下のような症状が出ます。

  • 無表情時に凹みとして存在
  • 表情を作るとひきつれる

▷ 取り残し(Under-correction)

吸引した部分と、していない部分の境界が
段差として残る状態です。直後は目立たずむくみがとれた1−2週間後から生じてくることが多いです。 これらは時間経過では改善しません。

どこまでが様子見ればいいの?

合併症と整容的トラブルの頻度

Kaoutzanisらの大規模研究では、脂肪吸引単独手術の重篤合併症率は0.7%と低い一方、
凹凸などの整容的問題は一定数起こり得ることが示されています[5]。

※凹凸のみを主要評価項目とした研究は限られており、詳細な頻度についてはエビデンスが限定的です。

いつまで待つべきか?

Dixit & Wagh のレビューでは、

  • 硬結(Induration)のピーク:術後6〜12週
  • 最終結果の判断:最低6ヶ月

とされています[6]。

これらを要約すると・・・

6ヶ月未満=基本は経過観察 
6ヶ月以降も固定した凹凸=再評価(診察)が必要、場合によっては再手術

注意が必要なケース(自然に治らない可能性)

次の条件では、拘縮ではなく修正が必要な凹凸の可能性があります。

  • 皮膚の弾力が低い(高齢・急激な体重減少)
  • 術後6〜12ヶ月経過しても表情時の凹みが固定
  • 線維化が強い(再手術歴・過度な圧迫など)

よくある質問(FAQ)

Q1. ボコボコを治すためにマッサージはした方がいいですか?

A. 術後1ヶ月以降、痛みがなければ「優しく」が基本です。
術後直後の強いマッサージは炎症を悪化させるリスクがあります。拘縮が始まる術後3週間〜1ヶ月頃から、硬い部分を指の腹で軽くほぐす程度のマッサージは、軟化を早める可能性がありますが、エビデンスは限定的です。主治医の指示に従ってください。

Q2. ボコボコはいつ治りますか?

A. 目安は「6ヶ月」です。
術後早期は腫れ・硬さが混在し、時間経過で軟化していきます。6ヶ月未満は拘縮の範囲であることが多いため、焦って修正を急がないのが一般的です[6]。

Q3. 早く治すための注射(ステロイドなど)はありますか?

A. 行うことはありますが、顔では慎重に判断します。
過剰な線維化に対してステロイド注射(ケナコルト)を行う場合がありますが、皮膚萎縮(凹み)や毛細血管拡張などの副作用があり、顔面では特に慎重な適応判断が必要です。

Q4. 半年経ってもボコボコです。修正はできますか?

A. 可能です。ただし初回より難易度は上がります。
凹んでいる部分には脂肪注入(Fat Grafting)、出っ張っている部分は再吸引、必要に応じて癒着剥離を検討します。修正経験のある専門の先生への相談が推奨されます[1]。

Q5. 「取りすぎ」と「拘縮」はどう見分けますか?

A. “無表情のときの凹み”がポイントです。拘縮は安静時に凹みが見られることは少なく、表情を動かした時に凹みが大きくなります。拘縮は時間とともに軟化し、触感・見た目が改善していくことが多い一方、取りすぎによる癒着は強く引きつれる凹みが固定化しやすいです(術後6ヶ月以降で変化が乏しい場合は要評価)。


参考文献

[1] Rohrich RJ, et al. (2013) Five-step neck lift: integrating anatomy with clinical practice to optimize results. Plast Reconstr Surg. 2013 Aug;132(2):339-350. URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23897334/

[2] Illouz YG. (1983) Body contouring by lipolysis: a 5-year experience with over 3000 cases. Plast Reconstr Surg. 1983 Nov;72(5):591-7. URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6622564/

[3] Klein JA. (1990) The tumescent technique. Anesthesia and modified liposuction technique. Dermatol Clin. 1990 Jul;8(3):425-37. URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2199105/

[4] Gasparotti M. (1992) Superficial liposuction: a new application of the technique for aged and flaccid skin. Aesthetic Plast Surg. 1992 Spring;16(2):141-53. URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1570777/

[5] Kaoutzanis C, et al. (2015) Cosmetic Liposuction: Preoperative Risk Factors, Major Complication Rates, and Outcomes. Aesthet Surg J. 2015 Jun;35(6):680-94. URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28430878/

[6] Dixit VV, Wagh MS. (2013) Unfavourable outcomes of liposuction and their management. Indian J Plast Surg. 2013 May;46(2):377-92. URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3901919/


※本記事は特定の治療の効果を保証するものではありません。 ※ケナコルトはBristol-Myers Squibb Companyの登録商標です。その他記載されている会社名・製品名は各社の商標または登録商標です。 ※施術にはリスク(出血・感染・神経損傷等)が伴います。必ず専門医の診察を受けてください。

この記事を書いた人

吉田 有希(Yuki Yoshida) 形成外科専門医 / THE CLINIC Tokyo

【経歴・人物】 日本専門医機構認定形成外科専門医。 現在はTHE CLINIC Tokyoにて、脂肪吸引・脂肪注入を中心としたボディデザイン診療を行う。

医師として臨床現場に立つ傍ら、「医学的に正確で、患者様が理解しやすい医療コンテンツ」の不足に課題を感じ、曖昧なネット情報に惑わされる患者様を減らすため、医学論文(一次情報)に基づいたエビデンスベースの発信を徹底している。

【保有資格・所属学会】

  • 日本形成外科学会認定 形成外科専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)専門医
  • VASER認定医

【専門分野】

  • 形成外科全般
  • 脂肪吸引・脂肪注入(豊胸・エイジングケア)
  • 医療ダイエット・肥満症治療管理
  • 医療論文解説

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